長崎フォトLOVERS
山田早織さん
「長崎都市・景観研究所/null」所属。nullでの活動をきっかけに、まち歩きが好きになり、長崎のまちにもカメラを向けるようになった。
とらえる目や気持ちが変われば、写真も変わる。
独自の歴史や異国の文化、祭りや人々の表情……
見れば見るほどに混じりあっては広がる「色」の渦へ、
山田さんはカメラとともに飛び込んでゆく。
長崎のまちが織りなす「色」を探して
父が趣味で写真を撮っていたこともあり、自然とカメラに興味が湧き写真を撮るようになりました。大学2年生のときに、初めて自分の一眼レフを買ったんです。ダイビングサークルに入っていたこともあり、そのころは旅行の写真や海中の写真ばかり撮っていましたが、4年生のときに、長崎でまちづくり活動に参加するようになって、長崎のまちにもカメラを向けるようになりましたね。
長崎って、他のまちにはない様々な「色」が混在しているんです。長い歴史の中で、異国の文化やそれぞれの時代の空気が地層のように折り重なっていて、現代のまちの風景の中にも色濃く残っている……その空気感を撮るのが好きです。いま目の前にあるものだけではなくて、何十年、そして何百年も前の情景を思い浮かべながらシャッターを押すと、その時代にタイムスリップしたような気持ちになります。特に、私が小さいころから大好きな「長崎くんち」には、それぞれのまちの歴史や文化、そしてそれを楽しみながら今を生きる人たちの情熱、気迫が感じられ、写真を通して、長崎の長い歴史の中で生きていることに気づかされます。ただ暮らしているだけではなく、長崎の歴史やまちづくりのことも考えて歩くようになったことで、撮れる写真も、長崎についての思いも深まっています。
行きと帰りで表情が変わるまち
長崎には、まちを遊ぶ「余白」や「隙間」があちこちにあります。自分だけの楽しみが見つかるというか。坂を上った先の酒屋さんで、クッとビールを飲んだ帰り道には、まちが違った顔を見せてくれるような気がしたりして。
歴史と生活を猫が横切っていく
鎖国時代の唐人屋敷の歴史を伝えるお堂や市場、そして坂のまちの生活が混在している館内町。廃業した銭湯の建物も味わい深いです。歴史と生活感あふれる風景を野良猫が横切っていく……そんな雰囲気が好きです。