長崎琴海LOVERS
佐木杏子さん
生まれも育ちも琴海。高校卒業後、市内の中心部でOL生活を送ったあと、上五島出身のご主人と結婚。農家仲間と開いた直売所のスタッフを務めながら、琴海のまちおこしにも取り組んでいる。
直売所を始めたことで、琴海地区の豊かさを再発見
身近な海は “地中海“とそっくり
おいしい野菜や果物と一緒に若い生産者も育ち
お店をベースに、多彩な活動が展開している
直売所から広がる農業と地域の可能性
20年ほど前から、長崎駅から車で1時間ほどの琴海地区で直売所をやっています。最初はおなじ時期におなじ作物ばっかり集まるし、見た目もイマイチに思えて「これで商売になると?」って感じでしたけど、みんなで勉強して、10年くらいでようやく軌道に乗りました。生産者同士のつながりが持てたのと、お客さんと直接やり取りできたのが大きいですね。新しい野菜を作れば、まずはその反応がわかり、美味しければ次の年に「あれはないの?」と買ってもらえて、だんだん定着してきました。
直売所を始めてみてわかったのは、琴海の農産物の豊かさ。とにかく種類が豊富だし、味もいいんです。聞くところによると、琴海はヨーロッパの地中海沿岸の街と似た地形・気候だそうです。海からのミネラルと日当りは抜群だし、土壌も特に柑橘類に向いていて、一年中おいしいものが採れる。だから、イタリアの苗木を植えて、タロッコオレンジなど珍しい柑橘類も生産されているんですよ。収益性がいい作物も多いので、比較的若い生産者が育っています。直売所を始めて、改めて、こんなに琴海ってすごい土地だったんだって思うようになりました。もうどっぷり【琴海LOVERS】ですよ。直売所をベースに、地域をもっと元気にすることにつなげたくて、いろんなまちおこしも行うようになりました。
新しい取り組みとしては、直売所の隣の施設を利用して、年に4回、自分たちで作った料理やお菓子などを食べてもらうイベント「いなカフェ」を開いています。これには若い人も参加してくれて、中にはこれがきっかけで、お店を開いた人もいるんですよ。先日は、認知症の講座とカフェを一緒に開催しました。お客さんでもある地域の高齢者を、直売所にできることでサポートしたり、見守ることができればと考えているんです。ひとつの直売所ですけど、琴海をもっといいまちにするために、まだいろんな可能性がありそうです。
四季を彩る琴海の実り
琴海の農産物は一年ずっと途切れないんです。果物だと、春のいちごに始まって、もも、すいか、ぶどう、なし、かき、そしてまたいちご……。そこにいろんな柑橘類が次々と。どれも本当に美味しいんですよ。
静かな海と島々の陽だまり
琴海の海を眺めていると心が安らぎます。おだやかな海に、いくつもの小さな島が浮かんでいる風景は、箱庭みたい。「かわいい」って言っていいかもしれません(笑)。琴海は、海もいいけど、川や畑など、ほかにもいい景色がいっぱいあります。